(a)帯磁率測定
帯磁率測定は、試料ををアルミパイプから取り出した直後、帯磁率計(Bartington Instruments社製)を用いて2cmずつ実施した。
堆積物の変化に伴って認められるピークは、火山噴出物を多く含む層準(スコリア層、YF−1層、浮石層、アカホヤ層、その他火山灰層)の部分で特に顕著であった。
(b)粒度分析(粗粒成分量)
粒度の組成を調査する目的で、試料を粒径125μm以上と63−125μmに篩い分けて、各々の分量を測定した。これら粗粒成分の分量のピークが顕著に表れる個所として、火山噴出物を多く含む層準(スコリア層、YF−1層、浮石層、アカホヤ層、その他火山灰層)が挙げられる。
(C)鏡下観察による地質記載
堆積物を鏡下で観察した結果、コアの対比をする際の鍵層となる火山性堆積物層を15層認めた。各層の概要を以下に示す。
@ スコリア層
黒色のスコリア質火山灰層。亀川沖西断層、東西中央断層全てで確認できる。
写真3−9 スコリアの鏡下写真。
@ スコリア層直下の火山灰層(GREEN)
緑褐色の強発泡のガラス質の火山ガラス層。極細粒砂サイズ。
写真3−10火山灰層(GREEN)の鏡下写真。緑褐色の発泡性ガラスを含む。
A 火山灰層(YF−1)
由布岳起源の火山灰層。灰色からやや桃色がかった岩片質を呈する。既往の調査結果から噴出年代は2500BPとされている。亀川沖西断層、東西中央断層全てで確認できる。
写真3−11 火山灰層(YF−1)の鏡下写真。
B 火山灰層 Brown(S)
黒褐色の強発泡の火山ガラス層。細粒で粒径がそろっている。亀川沖西断層、東中央断層で確認した。
写真3−12火山灰層 Brown(S)の鏡下写真。
C 火山灰層 Brown(L)
黒褐色の強発泡の火山ガラス層。上位の火山ガラス層に比べて粗粒なものが多い。
写真3−13 火山灰層 Brown(L)の鏡下写真。
D 火山灰層 A
灰色の岩片質の火山灰層。有色鉱物を含む石英粒を多く含む。亀川沖西断層で確認。
写真3−14 火山灰層 Brown(L)の鏡下写真。
E 火山灰層 B
黒褐色の発泡した火山ガラス。大きさ、色、形ともに変化にとむ。亀川沖西断層で確認。
写真3−15 火山灰層 Bの鏡下写真。
F 火山灰層 C
黒色の粗粒の火山ガラス。あまり顕著ではない。亀川沖西断層で確認。
写真3−16 火山灰層 Cの鏡下写真。
G 火山灰層 D
黒灰色−灰色の岩片質の火山灰と黒色の細粒火山ガラスおよび非火山性砕屑物を含む。
写真3−17 火山灰層 Dの鏡下写真。
H 火山灰層 E
黒色で細粒のガラス質の火山灰。あまり顕著ではない。亀川沖西断層で確認。
写真3−18 火山灰層 Eの鏡下写真。
I 浮石層 pumice
数ミリから1センチほどの軽石層(肉眼による確認が可能)。湾奥部には分布しないため、BからEおよびG−4,M−2(後述)との層序関係は不明。東中央断層で確認。
J 火山灰層 M−2
半透明から桃色がかった灰色の岩片質の火山灰層。有色鉱物を含む石英粒多い。細粒の橙色ガラスも含む。亀川沖西断層で確認。
写真3−19 火山灰層 Eの鏡下写真。
K アカホヤ火山灰層 K−Ah
上部は透明ガラスだが、最下位に粗粒の浮石質の火山灰と茶色のガラス片を含む。目視では5cm程度の厚さしかない。BEP99−3では1020cm付近に出現する。BEP99−6ではこの層の直下に火山灰層がみられるが、いまのところこの関係は不明である。
写真3−20 アカホヤ火山灰の鏡下写真。
@Aの2層はこれまでのコア試料からもペアになって別府湾の広域で確認できており、年代は約2000yBPという結果がえられている。また、BCの2枚の火山灰層は、文献の記載によると下位のガラスで4000yBP程度とされている。