6−4 最新活動時期

金山地区でのトレンチ調査とボーリング調査により,加治川断層の最新活動時期について以下の知見が得られた.

図15に示すようにXa層が急斜し変形しており,Wb層には変形構造が認められない.Xa層は,ボーリング調査でも,38゚と急傾斜しているので,断層変位を受けていると判断される.Xa層の14C年代値として6,450±130yBP,6,660±60yBPが得られており,Wb層のそれとして 5,850±70yBP,6,110±90yBPが得られている.Xa層とWb層の14C年代値を精度の重みを付けて平均する※1と,それぞれ5,950±50yBP,6,600±50yBPとなる.これらのことから最新活動時期は6,600±50yBP以降,5,950±50yBP以前であると判断される.

五十公野丘陵東縁断層については,扇状地面を切る断層の存在が推定されたが,その活動時期については特定できなかった.一方,櫛形山地西方断層及び櫛形山地東方断層群については,最新活動時期に関する資料は得られなかった.

※1:精度の重みをつけた平均値の求め方:測定値が(t1,σ1),(t2,σ2),・・・であるとしたとき,t1,t2,・・・が正規分布をし,互いに独立であると仮定すると,精度の重みをつけた平均値はΣ(ti/σi2)/Σ(1/σi2)であり,その誤差は1/(Σ(1/σi2))1/2となる.ここでは,上の2つの仮定が成り立っているとして,精度の重みをつけて平均値とその誤差を求める.