大気中で宇宙線により形成された放射性炭素(14C年代測定C)は直ちに酸化され14C年代測定CO2となり,周囲の二酸化炭素(12C年代測定CO2)と混合されて,地球表面の炭素循環に従って混合分化される.14C年代測定Cの半減期は5,568年と長いため大気中のCO2はよく混合されており,大気中のCO2の14C年代測定C濃度は,ほぼ一定となる.植物が炭酸同化作用で大気中のCO2を植物体内に固定するとき,12C年代測定C,13C年代測定Cとともに14C年代測定Cも同じ比率で取り込まれ,生きている植物体,また植物体を食して成長する動物体の14C年代測定C濃度は大気中のCO2の14C年代測定C濃度とほぼ等しい.ところが植物体が死ぬと同化作用がとまり生物体の14C年代測定Cは大気中の14C年代測定CO2から新たに補充されることなく,14C年代測定Cの半減期に従って時間の経過とともに一定の割合で減少する.この14C年代測定C濃度の減少の割合から生物体が形成されたときの年代を推定する方法が14C年代測定C年代測定である.
[試料採取]
14C年代測定C年代測定のために採取する試料は,すべて過去のものであり,現在の炭素物質に比べ14C年代測定C濃度が低い.従って,現代の炭素や時代の異なる炭素を含む物質が混入しないように注意する必要がある.採取する試料は,金属製のピンやスコップなどを用いて採取し,アルミ箔で包みポリエチレン袋に入れ封をした.
[測定方法]
測定方法は大きく分けて以下の2つの方法がある.
・β線計数法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・間接法
・加速器質量分析(AMS)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・直接法
β線計数法は放射壊変で放射されるβ線を計測し,14C年代測定C濃度を分析する方法であり,また,加速器質量分析は,14C年代測定C原子自身を直接検出する方法である.
[測定結果について]
14C年代測定C年代測定分析では,14C年代測定C年代値,補正14C年代測定C年代値及び暦年代の3種類の年代値が得られる.
14C年代測定C年代値は,試料の安定同位体比(14C年代測定C/12C)から求めた値であるのに対して,補正 14C年代測定C年代値は安定同位体比(13C/12C)を測定し,試料種や環境の違いによる同位体分別効果による補正を行った年代値である.暦年代は,大気中の14C年代測定C濃度の変動に対する補正をすることにより求められるが,約19,000年前より古い試料には適用されない.
本報告書中の年代は補正14C年代測定C年代値を使用した.