(2)加治川断層

・櫛形山脈南西部の北北東−南南西に延びる低地とその西側の丘陵との境界に位置する.長さは6.4qである.

・貝屋地区では,ピット調査とボーリング調査により,断層の両側で約33,000yBPのシルト層が分布しているのが分かった(図7).このシルト層が連続していたものとすると,その落差は約8.5mとなる.これらのことから,貝屋地区での平均変位速度(鉛直方向)は,0.3m/1,000年程度であると推定される.

図8に示すように,金山地区では断層下盤側でAT火山灰※1が沖積面下10.5mに挟在し,断層上盤側ではAT火山灰の降灰層準がKj−5面の最上部にある.このKj−5面と沖積面との比高は1.5mであり,AT火山灰の落差は約12mであると推定される.このことと,AT火山灰の年代が約25,000yBPとされることから,金山地区での平均変位速度(鉛直方向)は,0.5m/1,000年程度と推定される.

・金山地区の群列ボーリング調査で低位段丘堆積物を切る断層が確認された(図9).断層の変位様式は,西側隆起の逆断層である.断層面の傾斜は約45゚(深度10m付近)である.

・約6,000〜6,800yBPの地層が傾斜している.傾斜は急なところで30〜50゚である.

・貝屋地区及び金山地区で求められた値から,加治川断層の平均変位速度(鉛直方向)は0.3〜0.5m/1,000年程度と推定される.