「新編 日本の活断層」(活断層研究会,1991)によれば,加治川断層は長さ6q,確実度T,活動度B級の西側隆起の活断層とされ,櫛形山地西方断層は長さ3q,確実度T,活動度B級の西側隆起の逆断層とされている(図5参照).一方,櫛形山地東方断層群は長さ12q,確実度U,活動度B級の西側隆起の断層とされている.渡辺・宇根(1985)は,河川の屈曲状況から加治川断層に横ずれ成分があるとしている.小松原(1991)によれば,各断層周辺に分布する地形面の形成年代(推定)と変位量から求められる鉛直方向の平均変位速度※3は,加治川断層で0.1〜0.5m/1,000年,櫛形山地西方断層で0.1m/1,000年以上,櫛形山地東方断層群で0.1m/1,000年程度と見積もられている.
これに対し,最新活動時期,活動間隔,単位変位量※4などに関する情報は得られていなかった.また,活断層研究会(1991)によれば,加治川断層と同断層の南側延長方に分布する月岡断層は,ともにB級で西側隆起の逆断層とされており,両断層の活動の関連を検討する必要がある.
※1 逆向きの低崖:斜面の傾斜方向に対し逆に向いた低崖,すなわち山側に向いた低崖.
※2 風隙:過去に河川が流れていたことを示す稜線上のくぼみ.(町田ほか;1981)
※3 平均変位速度:活断層認定に用いた第四紀後期の地形面や鍵層の変位量を,その形成年代から現在までの年数で割った値.(町田ほか;1981)
※4 単位変位量:断層の活動1回当たりの変位量.