4−2−1 平均変位速度の算出
平成10年度の調査で断層西側に分布する地形面(Kj−5面)構成層から年代値を得ている.その年代は,下小中山No.1地点のピットの地表から 1.76〜2.15mに分布する腐植質シルトの14C年代:35,680±1,210yBPである.今回のボーリング調査ではKY−2孔の深度9.1m付近で同様な年代値(33170±220yBP)が得られた.平成10年度の調査では断層西側のKj−5面の年代を2.4〜2.5万年前と推定している.今回のボーリング調査の,KY−1,KY−2孔では,この年代の地形面の位置は確認できなかった.そこで,同様な年代が得られているKY−2孔の腐植シルト(シルトT層)上面とピットで確認された腐植シルト(シルトT’層)上面を同時面と仮定し,その落差と年代値から平均変位速度を算出する.[地層の落差]
KY−1孔の深度13.51mのシルト層とKY−2孔の深度12.13mのシルト層が対比できるものとして求められる地層の傾斜は西に約1°である.KY−2孔のシルトT層も西傾斜約1゚であるとすれば,図3−2−1−2からシルトT層上面の落差は約8.5mとなる.
[地層の年代]
シルトT層とシルトT’層が対比可能であるとし,それらの地層から得られている年代値の平均値を求めると約33,300yBPとなる.
[平均変位速度]
KY−2孔の腐植質シルトとピットの腐植質シルトがつながるものと仮定した上で求められる加治川断層の平均変位速度(鉛直方向)は0.25m/1,000年程度である.
鉛直方向の平均変位速度 =8.5(m)/33(1,000年)≒0.25(m/1,000年)