断層の西側にY層が分布していないので,群列ボーリングの測線に沿うY層上面の落差は不明である.Y層上部に腐植質のシルト層が挟在し,その年代値として21,990±420yBPが得られている.
・X層上面
X層上面は断層の西側で盛り上がっている.また,断層の東側で凹凸がある.今回の群列ボーリングでは断層西側のX層上面の断面形状が確定的でないため,正確な落差の値は求められない.KZ−9とKZ−12におけるX層上面の高度差を落差とすれば,その値は約3.4mである.X層から7,680±70yBP,7,870±80yBPの年代値が得られている.これらの年代値を精度の重みをつけて平均する(※)と,7,760±50yBPとなる.
・W層上面
W層上面の分布形状は,KZ−13以東で不明瞭であるので,その落差は不明である.また,W層最上部の腐植質シルト層から,5,790±70yBP,5,900±60yBP,6,000±60yBP,5,800±100yBPの年代値が得られている.これらの年代値を精度の重みをつけて平均すると,5,890±35yBPとなる.
・V層上面
V層最上部には,さほど腐植質でない粘土混じりのシルト層が分布する.このシルト層が連続しているとすれば,その落差は約1.4mである.また,このシルト層からは,5,240±100yBP,5,120±80yBP,5,020±70yBP,5,030±80yBP,4,410±60yBP,4,950±40yBPの年代値が得られている.これらの年代値を精度の重みをつけて平均すると,4,900±25yBPとなる.
・U層上面
U層最上部には腐植質のシルト層が分布している.このシルト層が連続しているならば,同層に明瞭な落差は認められない.このシルト層からは,3,150±60yBP,2,860±70yBP,2,570±70yBPの年代値が得られている.これらの年代値を精度の重みをつけて平均すると,2,890±40yBPとなる.
※:平均値の求め方
測定値が(t1,σ1),(t2,σ2),・・・(ti,σi)であるとしたとき,t1,t2,・・・tiが正規分布をし,互いに独立であると仮定すると,精度の重みをつけた平均値はΣ(ti/σi2)/Σ(1/σi2)であり,その誤差は1/Σ(1/σi2)となる