(2)ピットにみられる地質

今回のピット調査の結果を図3−1−1−3に示し,以下にピットにみられる地質の概要をまとめる.また,火山灰分析結果を巻末資料に添付する.

[P−1]

P−1は断層東側(落下側)のKu−3面上で掘削した.掘削地点は桑畑である.

ピット内には地表から0.4mに表土が認められ,深度0.4〜0.8mに黒ぼく土が発達している.深度0.8〜2.6mに礫混り砂質シルト層が分布する.深度2.6m以深に風化した花崗岩礫を主体とする礫層が分布する.この礫層の礫は亜角礫が多く,礫径は10〜20pが主体である.礫混り砂質シルト層中に材(深度2.5m付近)が散在し,そのうちの1試料を14C年代測定に供したところ,>42,920yBPの年代値が得られた(表3−1−1−1).また,礫混り砂質シルト層の最上部50p区間について深度方向に10p間隔で試料を採取し火山灰分析を実施した.

火山灰分析の結果,図3−1−1−2に示す1−T〜6−Tから火山ガラスが,また,3−Tからは斜方輝石が検出された.特に3−Tでは他の採取箇所より火山ガラスが多く含有していることが分かった.火山ガラスはAT(姶良Tn火山灰:20,000〜25,000年前)とAs−K(浅間草津火山灰: 13,000〜14,000年前)の混在,斜方輝石はAs−K起源と考えられる.

[P−2]

P−2は,断層西側にもKu−3面構成層が分布することを確認するために予備的に掘削した.掘削地点は草地である.

ピット内には地表から0.05mに表土が分布し,0.05m以深にKu−3面構成層とみられる礫層及びシルト質砂層が分布する.礫層は,径10〜20pの花崗岩類の亜角礫が主体をなす.基質は花崗岩類起源の中粒〜粗粒砂である.

地表から0.05〜0.6m区間を深度方向に10p間隔で試料を採取し火山灰分析を実施した.

火山灰分析の結果,石英・長石及び黒雲母が多量に含まれているが,火山ガラスは検出されなかった.