4−1−2 櫛形山地西方断層周辺
櫛形山地西方断層周辺では,Ku − 1面〜Ku − 3面までの土石流堆積物からなる地形面,荒川による河成段丘面(Ku − 3'面),沖積面(Ku − 4面)が分布している.これらの地形面のうちKu − 3面及びKu − 3'面を構成する堆積物の上部にAs−K(浅間草津テフラ:13,000〜14,000年前)に対比される火山ガラスが検出された.検出された火山灰は,地形面の表層付近でのみ検出されることから,生物攪乱,土壌化作用等の影響を受けている可能性が高いことから,地形面形成後に降灰した火山灰である可能性が高く,地形面の形成年代を特定することはできなかった.胎内川以南の加治川断層周辺の地形面の形成年代が特定され,月岡断層周辺に分布する地形面の形成時期と調和的であること,小松原(1991)に従い胎内川以北と胎内川以南の地形面を対比すると,阿賀野川から荒川にかけての地域に分布する土石流堆積物からなる地形面はほぼ同時期に形成されたものである可能性が高いと判断される.従って,胎内川以北に分布する各地形面の形成年代は,Ku − 1面が20〜35万年前,Ku − 2面が15〜20万年前,Ku − 3面が8〜13万年前に形成された地形面であると推定される.