ピット調査の結果によれば,本地点の地質は,最下部に径20〜100mmの亜角〜亜円礫を主体とする礫層を伴い,上位に向かって細粒化するアルコース質砂〜シルトからなる(図3−3−6).
深度0.65〜1.60mの砂,シルトを対象として火山灰分析を,深度0.35〜0.6m,1.35〜1.45m付近に含まれる植物片,炭化物を対象として14C年代測定を実施した.火山灰分析の結果によれば,シルト層の最上部(下小中山2−8〜9)からはAT(姶良Tn火山灰)を起源とする火山ガラス,シルト層下部(下小中山2−6)及び下位の砂層(下小中山2−1)からは火山灰を起源とする斜方輝石,β−石英が極少量検出された(図3−3−7).斜方輝石はDKP(大山倉吉テフラ:43,000〜55,000年前),β−石英はK−Tz(鬼界葛原テフラ:90,000〜95,000年前)に対比される可能性が高いが,堆積物に極少量しか含まれていないため,起源とする火山灰の特定はできなかった.また,14C年代測定結果によれば,深度1.35〜1.45mの植物片は100±0.4 y BP,深度0.35〜0.6mの炭化物は5,850±40 y BPの14C年代値であった.深度1.35〜1.45mの植物片は,堆積物中に進入した植物根を測定したため最近の年代が得られたものと判断される.