2−3 地表踏査

上記(1),(2)の調査により抽出されたリニアメント・変位地形等の解明及びデータ補完を目的として,加治川断層南端から櫛形山地西方断層北端までの範囲及び胎内川流域(黒川村下館〜同村夏井)について現地調査を実施した.

現地調査は概査及び精査からなる.概査は調査地全体について実施し,精査はボーリング調査及びトレンチ調査等の詳細調査候補地点の周辺について実施した.

A.地表踏査(概査)

地表踏査(概査)は,地形面調査,地質概査,リニアメント近傍詳細調査に分けて実施した.

地形面調査は,地形判読により抽出した変位基準面となる地形面について,縮尺1:10,000〜1:5,000の地形図を用いて地形面の有無,堆積物の確認,地形面の連続性,変形等について現地調査を行い,地形面区分の精度を上げるとともに,この地域でこれまでに確認されていない地形面形成年代を明らかにするように努めた.

地質概査は,調査範囲全域について縮尺1:10,000の地形図を用いて,地層分布状況,地質構造,断層の有無,リニアメントとの関係等について地表地質踏査を実施し,その成果として縮尺1:25,000の地質図を作成した.また,断層露頭等の重要露頭については,写真撮影あるいはスケッチを行い,リニアメントに関係する地層の年代測定に有効な試料が認められた場合は,これを採取し,分析・解析を行った.

リニアメント近傍詳細調査は,判読したリニアメント周辺について,縮尺1:5,000の地形図を用いて変位地形,露頭の分布状況等について詳細に調査を行い,縮尺1:10,000のストリップマップを作成した.

B.地表踏査(精査)

地表踏査(概査)により選定したボーリング調査,トレンチ調査等の詳細調査候補地点について,縮尺1:5,000の地形図を用いて地質精査を行い,縮尺1:5,000のルートマップを作成するとともに,詳細調査候補地点の検討を行った.