4−4 断層の活動開始時期

月岡断層の西側に位置する笹神丘陵には、図4−1−4−1図4−1−4−2の地形面区分図に示すように断層東側に位置する五頭山地から供給された土石流堆積物からなる地形面(T1面〜T4面)が4面確認される。これらの地形面は、すべて西傾斜を示し、古い地形面ほど急傾斜である。T1面は、笹神丘陵の尾根部に分布するのに対し、それ以降に形成されたT2面〜T4面の各地形面は、丘陵尾根部に風隙を伴う沢部や現河川沿いに分布している。

土石流堆積物が丘陵の尾根部に分布することは、土石流が流出したその当時に笹神丘陵は存在せず、五頭山から続く山麓部であったことを物語っている。

反射法地震探査結果によると、基盤岩である花崗岩の上限面の鉛直方向の変位量は約110mであることが明らかになっている(図4−2−1)。一方、T1面の鉛直方向の変位量は95〜98m以上であり、花崗岩の上限面から求められる鉛直方向の変位量と同程度である。

前述したようにT1面形成後の月岡断層の活動は、0.4〜0.5 m / 103 y で一様なものと考えられること、T1面の鉛直方向の変位量と花崗岩の鉛直方向の変位量には有為な差が見られないことを判断すると、月岡断層帯は、T1面形成前後(約20〜30万年前)に活動を開始し、現在までほぼ一様に活動しているものと判断される。