調査結果をまとめると以下のようである。
1.B測線では、下位から安野川層(第三紀鮮新世〜第四紀前期更新世)、A層、B2層(33,670±370 y BP)、D層(6,770±80〜8,070±40 y BP)、E1層およびE層が分布する。
2.月岡−1孔、月岡−3孔では、基盤である安野川層とB2層を境する傾斜25゜の逆断層が確認された。明瞭な断層面は認められないが、月岡−3孔では断層に沿って幅5cmの灰白色シルトが認められた。
3.断層上盤側では、基盤岩である安野川層を直接覆うD層(6,770±80〜8,070±40 y BP )、笹神丘陵から供給された扇状地堆積物のE1層が分布し、扇状地面(E1面)を形成している。低断層崖付近では、地形面とともに急傾斜を示し、断層活動に伴う変形が認められる。
4.断層下盤では、村杉低地堆積物のD層を扇状地堆積物のE1層が覆っており、断層を挟んで上盤、下盤ともにE1層およびD層が分布している。
5.断層上盤側では、低断層崖付近に変形が認められるため断層活動による変形の及んでいない上流側の地形面の勾配を用い、変位量を算出した。E1層の基底面の鉛直変位量は、3mとなり、断層の傾斜を25゜として実変位量を計算すると7.1m、笹神村出湯〜同村上坂間で実施した反射法地震探査結果から求めた断層の傾斜60゜から、実変位量を計算すると3.5mとなる。