(1)原理
大気中で宇宙線により形成された放射性炭素(14C)は、直ちに酸化され14CO2となり、周囲の二酸化炭素(12CO2)と混合されて、地球表面の炭素循環に従 って混合分化される。14Cの半減期は5,568年と長いため大気中のCO2はよく混合されており、大気中のCO2の14C濃度は、ほぼ一定となる。植物が炭酸同化作用で大気中のCO2を植物体内に固定するとき、12C、13Cとともに14Cも同じで比率で取り込まれ、生きている植物体、また植物体を食して成長する動物体の14C濃度は大気中のCO2の14C濃度とほぼ等しい。ところが植物体が死ぬと同化作用がとまり、生物体内の14Cは大気中の14CO2から新たに補充されることなく、14Cの半減期に従って時間の経過とともに一定の割合で減少する。この14C濃度の減少の割合から生物体が形成されたときの年代を推定する方法が14C年代測定である。