(3)地質構造

調査地に分布する地層は、上述したように五頭花崗岩類を基盤とし、新第三系〜第四系からなる。新第三系及び第四系中には、荒川層と山ノ神層との間、魚岩層と安野川層との間に不整合が認められるほか、安野川層より上位の地層はいずれも不整合関係で接している。

荒川層は、調査地北東方に窓状に小規模に分布するのみで、地質構造は不明である。山ノ神層〜魚岩層は、調査地北方に広く分布するほか、真光寺ニュータウンから南側に南北方向に細長く分布し、おおむねNNE−SSW走向で西に10〜30°前後傾斜している。安野川層は笹神丘陵に上位の山寺層あるいは笹神層に覆われて分布し、おおむねNNE−SSW走向で西に10〜30°前後傾斜している。山寺層および笹神層は笹神丘陵に広く分布するほか、五頭山地側に小規模に分布し、NNE−SSW走向で西に5〜15°前後傾斜している。調査地には、断層露頭、地層分布や地層の走向・傾斜等から幾つかの断層が推定あるいは確認される。断層露頭のスケッチ、露頭写真を巻末資料に示す。

村杉低地の東側の五頭山地側では、NNE−SSW方向の山ノ神層あるいは五頭花崗岩類と魚岩層を境する断層、WNW−ESE方向の五頭花崗岩類と山ノ神層を境する断層が推定される。これらの断層は地層分布と地層の走向・傾斜から推定される断層で、断層付近にはリニアメントは判読されない。

村杉低地から笹神丘陵にかけては、笹神村羽黒付近と笹神村大日西方に断層が推定される。笹神村羽黒付近の断層は、大荒川沿いで東側から魚岩層、安野川層、羽黒層が分布することから、笹神団体研究グループ(1980)と同様にNNE−SSW走向の地溝状の2条の断層を推定した。笹神村大日西方の断層は、安野川北側の沢で山寺層が繰返し分布すること、笹神村大日西方で尾根部付近から西側に分布する山寺層が丘陵東側斜面に分布することから、NNE−SSW走向、東落ちの断層を推定した。これらの断層付近には、リニアメントは判読されない。

笹神丘陵と村杉低地の境界あるいは笹神丘陵東側斜面には、リニアメントと一致する断層が推定あるいは確認される。これらの断層については次項で詳述する。