(3)テフラ分析の結果
B−2およびB−3の東海層群中に認められた火山灰は、B−2(標高−54.895〜−54.945m)が天神池火山灰に類似しており、B−3(標高−61.895〜−61.675m)が佐布里火山灰に非常に近いとの結果を得た。平成9年度B−1の標高−32.703〜−32.863mに認められた火山灰は、佐布里火山灰に類似しているとの結果を得ており、その位置関係は図2−2−1のようになる。牧野内ほか(1992)によると、天神池火山灰層は、B−1ボーリングで確認された佐布里火山灰よりも上位に位置する火山灰層で、知多半島北部において佐布里火山灰のおおよそ55m上位に観察されている。今回の火山灰同定が正しければ、F4とF1に挟まれたブロックは南北のブロックに対して相対的に沈降していることになる。断層運動の中でいくつかのブロックがある場合、不等変位を起こすことはあるが、これまで浅層反射法探査で確認された東海層群中の特徴的な強い反射面は、北に階段状に落ちているプロファイルを示しており矛盾した結果となる。火山灰同定の結果から、B−1,B−3が佐布里火山灰に近いという結果はかなり信頼性を持ち、B−2が天神池火山灰に近いという結果は、未知の火山灰の可能性を残していることが判る。従って今回の火山灰分析の結果については、B−2の火山灰を未知の物として取り扱うこととする。よって、B−1とB−3の落差は約29m(28.82m)となり、佐布里火山灰の高低差を比べる限り、浅層反射法探査の断面と矛盾は生じない。