@浅層反射法探査
平成8年度に実施した音波探査及び浅層反射法探査により、天白河口断層の名古屋市港区潮見町付近における断層通過位置がほぼ明らかになった。平成9年度は、その延長上の東方約2Kmに位置する東海市新宝町付近の断層通過位置を特定できるよう、浅層反射法探査1測線、測線長800m、探査深度300m以上で計画した。しかし、国際航業鰍ゥら自社研究のために確認範囲を拡げることが提案され、南側に390m延長し、総延長1190mで実施した。
Aボーリング調査
地下における地層の分布を把握し、浅層反射法探査の結果とあわせて、地質構造・断層の性状および活動性を把握できるよう、F1断層の南側(不動側)100mの地点(浅層反射法探査測線における追加距離700m地点:東海市新宝町)でボーリング調査を実施した。
B年代測定及び諸分析
ボーリング調査で得られた試料から地層の堆積年代、堆積環境を推定し、断層変位量を知るための地層対比に必要な情報を得るため、年代測定(放射性炭素同位体年代測定)、諸分析(イオウ分析、粘土混濁水の電気伝導度測定、テフラ分析)を実施した。
当初予定されていたFT(フィッショントラック)法年代測定、貝化石群集分析については、分析に適当な試料が得られなかったため、実施できなかった。
テフラ分析については、対象となる明瞭な火山灰層が1層しか確認されなかったため、実施数量を1とした。
当初計画に含まれていなかったイオウ分析、粘土混濁水の電気伝導度測定は、ともに堆積環境を比較的容易に推定できることから実施した。
また当初計画に含まれないが、国際航業の提案により、浅層反射法探査の解析作業とボーリング試料の地層区分の参考資料とするため、速度検層(PS検層)を実施した(経費は、自社研究のため国際航業鰍ェ負担)。速度解析に必要な調査地の深度方向のP波速度を測定することにより、浅層反射法探査の深度断面図の精度が向上する可能性がある。また、速度検層を実施した既存ボーリング資料との比較が可能であれば、地層対比において有効であると考えられた。
表1−2−4 実施した調査項目