1−3−3 音波探査結果の概要

断層の存在と通過位置を確認する目的で、名古屋港のガーデン埠頭地先〜潮見橋〜東海市東海町に至る5kmにおいて、マルチチャンネル音波探査を実施した。音波探査測線と既存ボーリング資料の位置を図1−3−4に示した。

 発震源には、G.Iガン(G:20in3,I:40in3)を使用し、受波器は1m間隔×24チャンネルのストリーマーケーブルを用いて、4m間隔で発震を行った。主な探査条件は、標準重合数が6重合、サンプル間隔0.5msec、記録長が1.0secである。

 解析図に示した地層区分は、調査測線に近いボーリング資料を参考とし、解析の鍵となる反射面や反射パターンから、地質構造を推定した。

音波探査の結果は、図1−3−5の深度600mまでの深部解釈断面図に示す。S測線南側(追加距離1290〜2900m)は、東海層群(P)の約3〜5度と非常に緩く北に傾斜して連続する反射面が、深度500mまで分布する。また、S測線北側(追加距離400〜980m)とN測線は、ほぼ水平に連続した反射面が深度100mまで認められ、部分的に深度500mまで認められる箇所もある。この区間には、断層は存在しないものと考えられる。S測線の中央付近(追加距離980〜1290m)は、深度70m以下の反射面の連続性が不明瞭で反射記録が悪く、断層による地層の乱れによるものと考え、その両側に東海層群(P)を切る断層(F1,F4)を推定した。断層の傾斜や構造は、探査記録から読みとれない。

図1−3−5の深度150mまでの浅部断面の反射面の連続性はあまり良くなく不明瞭であり、かつ、既存ボーリング資料による地層の対比であることから、確実性に欠ける。深部断面で把握されたF1,F4断層は、海部・弥富累層に対比される地層の反射面も不連続にずらしている可能性が高い。さらに北側のF4は、上位の熱田層下部(D3L)も変位させている可能性がある。中央のF2~3は、浅層反射法探査のF2,F3に対応する断層として推定した。その上位の更新世中期〜後期の熱田層(D3U)や完新世の沖積層(A)などの新しい地層の変位については不明である。

東海層群や海部・弥富累層の変位量及び上位層も含めた地質分布等については、反射面と既存ボーリング資料による推定であり、正確な情報は今後の確認調査で明らかにする必要がある。

図1−3−4 音波探査測線・浅層反射法探査測線と既存資料位置図

図1−3−5 音波探査地質構造解釈図