8−1 雲仙活断層群のまとめ

前章までに述べた調査結果に基づき、雲仙活断層群について以下にまとめる。

雲仙活断層群の位置図を図8−1に示した。陸域の断層について、方向、長さ、変位地形の種類、変位の向き、変位基準毎の平均変位速度、活動度および活動時期に関する情報を表8−1にまとめた。海域断層についてイベントの時期、変位量を図8−2にまとめた。

これらの結果に基づいて、雲仙活断層群の各個別断層についての活動性パラメータを表8−2に、雲仙活断層群の活動性総合評価を表8−3にまとめた。

雲仙活断層群は、西部の橘湾から島原半島を経て東側の島原湾にかけて、ほぼ東西に分布する多数の断層から構成される断層群であり、全体で一つの地溝(雲仙地溝)を形成している。

断層の分布は、東西方向の雲仙地溝の北部に主として南落ちの断層が分布し、南部に主として北落ちの断層が分布する。

地溝北縁の断層群は、ほぼ2列をなして、東西方向に直線的に連続しており、雲仙地溝北縁断層帯としてまとめられる。

地溝南部の断層群の走向は、島原半島中央部で北へ張り出して屈曲し、ここを境に東部(雲仙地溝南縁東部断層帯) と西部(雲仙地溝南縁西部断層帯)に二分される。

松田(1990)は活断層相互の間隔が5km以内であるかどうかを断層を区分する基準としている。この基準によれば雲仙活断層群の南縁の2つの断層帯は一連の断層ともみなせる。しかしながら、上記のように、南縁の断層は島原半島中央部において東部と西部で走向が異なることから、地下深部では両者は別の断層であると考えられる。このことから南縁の断層帯については島原半島中央部で南縁西部と南縁東部に区分した。

また、平成15年度調査で存在が明らかになった橘湾西部の断層群は、平成15〜16年度調査において、変位の向き及び活動時期が、南縁西部断層帯と異なることが明らかになったので、雲仙活断層群とは別の断層(橘湾西部断層帯)と判断した。

さらに、島原沖に分布する断層群は、大局的には東西方向の地溝を形成しているが、この地溝の軸の位置が島原半島の雲仙地溝から北側へずれていることが明らかとなったので、雲仙活断層群とは別の断層と判断した。