(7)島原市西部

1)千本木断層

千本木断層は、古期雲仙火山後期の溶岩を南落ちに変位させる東西方向の2条の断層である。古期雲仙火山後期の溶岩(230ka)を基準面としたときの上下方向の変位量は、北側の断層が35m、南側が76mで、平均変位速度はそれぞれ0.15、0.33m/千年であり、いずれも活動度はB級となる。

千本木断層に沿って直線的な断層崖が発達するが、崖下は平成噴火堆積物に覆われており、活動性に関する情報は得られていない。

2)九千部岳U断層

九千部岳U断層は、垂木台地北側に分布する新期雲仙火山の溶岩を南落ちに変位させる西南西−東北東走向の断層である。千本木溶岩(23ka)を基準面としたときの上下方向の変位量は18mで、平均変位速度は0.78m/千年でB級を示す。

南千本木において、古期雲仙火山噴出物を変位させている断層露頭が確認された(図7−1の地点L)。断層面には東落ち30°の条線が認められた。南落ちの断層であることから、左横ずれを伴う断層である。ただし、周辺の地形には横ずれの断層運動を示す変位地形は認められない。この露頭からは活動時期に関する情報は得られていない。