田代原付近では千々石断層は古期雲仙火山後期の溶岩円頂丘や火山麓扇状地を切る南落ちの断層崖を形成している。断層落ち側は崖錐堆積物に覆われており、断層の活動性に関する情報は得られていない。
断層落ち側で実施したボーリングの結果、最近1万年間は大規模な土石流が発生するような状況にはなかったと推定される(図7−1の地点G)。
古期雲仙火山後期の鉢巻山溶岩(307ka)、吾妻岳溶岩(180ka)及び鳥甲山溶岩(210ka)を基準面としたときの変位量はそれぞれ463m、315m及び192mであり、平均変位速度はそれぞれ1.51、1.75、0.91m/千年となり、活動度はB級〜A級である。
2)九千部岳T断層
九千部岳T断層は、田代原南方の九千部岳の南側を通る東西走向の断層で、古期雲仙火山後期の溶岩を南落ちに変位させている。九千部岳溶岩(古期雲仙火山後期:199ka)を基準面としたときの上下方向の変位量は122mで、平均変位速度は0.61m/千年であり、活動度はB級である。九千部岳T断層の活動性に関する情報は得られていない。