7−2−2 断層の位置・形状

@西端:陸域における雲仙地溝北縁断層帯の西端は、千々石断層西端部が伏在すると推定される唐比低地付近である。その西方の更新世の有喜火山岩類中にも、東西走向の断層が確認されたが、これらは横ずれ成分を持つ逆断層で、千々石断層とは変位の向きが異なることから別の断層と考えた。

一方、海域では、橘湾北部断層群が唐比低地の西方まで分布している。

したがって、橘湾北部断層群の西端を雲仙地溝北縁断層帯の西端とみなした。

A東端:島原市内では、反射法地震探査により、北縁断層帯を構成する九千部岳U断層の東方延長部に、北縁断層のセンスと同じ南落ちの断層が伏在していることが確認された。

島原沖の断層群については、平成16年度調査で地溝構造が確認された。この地溝は、陸域の雲仙地溝とは直接連続せず、北へずれていることから、島原沖の断層群は、雲仙活断層群(雲仙地溝北縁断層帯)とは別の断層群と考えた(図7−20)。

島原市の沖合い海岸近くでは、海底が1792年の眉山崩壊に伴う岩屑なだれ堆積物に覆われており、音波探査では断層は確認できなかった。しかし、島原市の地下に伏在している断層が連続している可能性が否定できないため、雲仙地溝北縁断層帯とは別の断層と考えられる島原沖の断層群の西端をもって、雲仙地溝北縁断層帯の東端とした。

B長さ:上記の断層帯の東西端を結ぶと約31.5kmである。

C断層面の形状:断層面の傾斜は、確認された断層露頭、島原市内の反射法地震探査結果からみて、地表ないし地下浅部では、60°〜70°程度の高角南傾斜と推定される。

断層面の下限の深さは、平成16年度調査に実施した、島原半島付近の地震の震源位置の再解析結果による地震発生の下限震度から、10〜15kmと推定される。

D変位の向き:南側が落ちる正断層である。