(a)火山灰層の対比と年代
火山灰層の年代値を、層位関係が明確なF−5断層相対的隆起側のTAT03−13コアにおいて、各火山灰に最も近い層準の放射性炭素年代値から内挿して求めた結果は以下の通りである。
@含スコリア火山灰層(火山灰層1,V−1)の年代は2750−2996yBPと算定された。
A鬼界アカホヤ火山灰層(K−Ah)(火山灰層6,V−4)の年代は6836−7,030 yBPとなり、F−6、F−7断層のコア試料解析結果と同様、町田・新井(2003)により報告された鬼界アカホヤ火山灰の年代(およそ7.3ka)と調和的である。
これらの対比は断層を挟んだコア間では比較的明瞭であり、また各断層間でも対比可能である。
B多くのコアで2層準認められた軽石を特徴的に含む火山灰層(火山灰層2、3、4、5、V−2、3、3’)については、火山灰分析結果からは、特徴が一致する点および若干異なる点があった。
前述したように、試料採取の関係から、火山灰層の純層を分析した結果ではないため、周辺の陸域に分布する雲仙火山をはじめとする火山岩類起源の砕屑粒子が混在していると推定され、火山灰分析結果にばらつきが出た可能性がある。
ただし、各軽石層の年代値はいずれも5200−4400yBP付近を示すことから、ほぼ同時期に噴出した含軽石火山灰層群であると推定される。
(b)対比基準面の認定
前述した新しい対比基準面の認定基準により、再検討した結果、F−1断層では6層準、F−2断層では10層準、F−3断層では16層準、F−4断層では16層準、F−5断層では10層準の対比基準面が認められた。
対比基準面の一覧表を表5−8−1、表5−8−2に、コアの試料分析結果と対比基準面、イベント層準を図5−12−1、図5−12−2、図5−12−3、図5−12−4、図5−12−5に示す。
(c)イベント層準の認定