各側線において堆積物中には成層構造が認められる。探査範囲南部のおよそ北緯36°以南では成層構造を切る谷地形が顕著である。この谷地形は海上保安庁5万分の1海の基本図「橘湾」で図示された谷地形とほぼ同一地点にあたる。これらの堆積物は完新統であり、谷地形は浸食谷であると考えられる。
成層構造の確認される部分について、断層の有無と変位の累積について検討した。本探査範囲においては新たに21の断層が認められた。この結果平成15年度調査で確認された茂木沖断層群の南方にも断層が存在することが明確になった。
各断層の推定変位量をまとめた総括表を表5−2に示す。
探査範囲に認められる断層走向はいずれもほぼ東西方向であると考えられる。一般に南落ちを呈する断層が多く、北落ち断層は測線153、154に各1断層確認されるのみである。
橘湾西部海域の南部における探査測線間隔は約1.5km であるため、延長についての検討は出来ない。
平成15年度調査海域では、側線間隔が狭く、複数の側線に置いて確認された断層について、延長について検討した。
表5−2に示した鬼界アカホヤ火山灰相当層と推定される反射面に基づく断層の垂直変位量は、探査範囲のうち北緯32°37’以北においては概ね0.5m以下である。潮流等による削剥が顕著となる北緯32°36’以南では、鬼界アカホヤ火山灰相当層と推定される反射面の連続性が不明確となるため解析不能である。
また、複数の断層において、完新統と推定される堆積物中に、変位の累積性が認められる(図5−5−1、図5−5−2;表5−2:No.57、58、59、63、64、65、66)。