年代測定の方法は、採取試料中の有機物量(炭素量)が少ないことが予想されたため、AMS法によった。
試料及び分析結果を表4−1に示す。暦年補正のデータシートを巻末資料に示す。
年代測定分析試料は、ボーリングコアやトレンチ法面から炭化物(木片等)及び腐植質の堆積物を採取した。試料の具体的な採取位置(地点・層準)及び得られた年代値に関する考察については、上述した4章の調査結果に示した。
@唐比低地のボーリングコアでは、腐植質土が厚く堆積しており、肉眼的には各ボーリング間の層相対比が困難であるため、堆積年代による地層対比を行う目的で、基本的に1m程度の間隔で試料を採取した。
A白新田断層のオーガーボーリング試料では、褐色ローム層を覆う黒土について、その下底の年代を決定するため年代測定を実施した。
B島原市内におけるボーリングにおいては、砂礫主体のため、有機質の挟在物について測定を行った。
C島原城内のトレンチにおいては、地割れの形成年代を検討するため、現地表から地割れに落ち込んだ土壌及び地割れ中の松根の年代を測定した。地割れ中の松根については、年輪の中心部のセルロースを抽出して年代測定を行った。
AMS法によって得られた年代測定値は、δ13Cの値により同位体分別補正を行い、さらにIntcal98により暦年補正を行った。
本報告書における放射性年代は特に明示しない場合を除き、暦年補正値の幅で表現する。なお、暦年補正時にはIntcal98の補正カーブにより、該当する年代区間が2〜3区間になる場合があるが、この場合、本報告書では基本的に、最古と最新の両端の年代幅として示した。