4−4 白新田断層

白新田断層は、九千部岳T断層から分岐するようにみえる、西南西−東北東走向の断層である。活動のセンスは北落ちで、他の雲仙地溝北縁の断層群と異なる。山間低地の崖錐堆積物面上に比高約6mの北落ちの低崖を形成しているが、東西延長部の古期雲仙火山の山体には変位地形は認められない(図4−24)。

白新田断層リニアメントの西方延長部において、平成15年度にUSDPプロジェクトによるトレンチ調査が実施されたが、表層の黒土の下位に分布する黄褐色ローム層の上面は、南に傾斜しているものの、断層を示すような段差や割れ目は確認されなかった(図4−25)。

平成16年度調査として、トレンチ地点を含むリニアメント位置における群列ボーリングを実施した(図4−26)。その結果、黄褐色ローム層(崖錐堆積物)の上面は、リニアメント付近で浅い谷地形をしているものの、断層による変位は認められない(図4−27)。

黄褐色ローム層の直上には姶良−Tn火山灰(AT)が堆積している。また、これを覆う黒土中には鬼界アカホヤ火山灰(K−Ah)が挟在されるが、断層によると考えられる変位は認められない。

したがって、白新田断層は少なくとも、姶良−Tn火山灰降下(2.6〜2.9万年前)以後は活動していないと考えられる。

姶良−Tn火山灰に覆われる崖錐堆積物の上下方向の変位量が6mであることから、平均変位速度は0.2m/千年以下と考えられる。