4−3 小倉断層

小倉断層は千々石断層から分岐する、古期雲仙火山後期の溶岩を南落ちに変位させる西南西−東北東走向の2条の断層である(図4−20)。

松岡他(2004)により、小倉断層西端部においてトレンチ調査が行われている(図4−21図4−22図4−23)。

松岡他によれば、段丘礫層上面に、小倉断層リニアメントと平行な比高約1mの南落ちの低崖が確認された。この低崖周辺には、走向N70W〜EW、傾斜70S〜垂直な、小倉断層にほぼ平行な割れ目が8条確認され、段丘礫層を覆う、細砂〜中砂層や礫層を15〜0cm南落ちに変位させている。これらの割れ目中に落ち込んだ褐色細砂中に姶良−Tn火山灰(AT:23−26ka)の混入が確認されている(図4−22図4−23)。

この結果から、小倉断層の最新活動時期は、姶良−Tn火山灰降下(2.6〜2.9万年前)以降と考えられる。姶良−Tn火山灰降下以降の段丘礫層上面の変位量が約1mであることから平均変位速度は0.04m/千年以上と考えられる。

一方、鉢巻山溶岩(古期雲仙火山前期:327ka)を基準面としたときの上下方向の変位量は145m以上で平均変位速度は0.44m/千年以上、九千部岳溶岩(古期雲仙火山後期:191ka)を基準面としたときの上下方向の変位量は30〜35mで、平均変位速度は0.16〜0.18m/千年であり、活動度はB級となる。