4−2−3 千々石断層西端部の検討

平成15年度と平成16年度に実施した、A−3側線におけるボーリング結果並びに試料分析結果から、A−3側線の地質断面図を図4−17に示す。また、A−3側線の各ボーリングのコア写真と年代測定及び火山灰分析の試料採取位置を図4−18に示す。

ボーリングコアの年代測定結果から、A−3側線を横切ると推定される断層の上り側のNo.13からNo.11にかけて、5,500年前以降の地層が南落ちの急傾斜を示すことが明らかとなった。したがって、断層そのものは確認できなかったが、ボーリングNo.13とNo.11の間に、完新世に南落ちの活動をした断層が伏在していると考えられ、千々石断層の西方延長の可能性が高い。

上述の唐比低地内のNo.2ボーリングともあわせて、この断層の縄文海進以降の平均変位速度は1.40〜1.70m/千年でA級を示す。

一方、唐比低地周辺のボーリングにおける堆積速度変化からも、唐比低地全体が国道北側に対して沈降をしたと考えられる(図4−19)。

また、伏在断層落ち側のNo.11ボーリングにおける珪藻化石による古環境分析から、縄文海進後の海水準低下により淡水環境になったが、約4,500年前頃に海が再進入したと推定される(図4−17)。一方、堆積速度変化からも、4,500〜5,000年前ごろに、急速な沈降(No.14、No.15ボーリングでは約1m)が示唆される(図4−19)。したがって、この伏在断層は4,500年前頃に活動した可能性がある。