3−2−1 基盤

島原半島の地質は、南部に分布する第三系と更新統口之津層群を基盤とし、中・北部には基盤を覆って雲仙火山が分布する。

口之津層群は更新世前期(200万年〜100万年前)の地層で、全体として東西走向で南に緩く傾斜しており、島原半島の中・北部では地表に露出しない。

下位より大屋層(河成堆積物)、加津佐層(砂・シルト・凝灰角礫岩)、南串山層(複輝石安山岩・角閃石安山岩主体で最上部に玄武岩溶岩)に区分される。口之津層群の年代はフィッショントラック法により最下部の大屋層下部層が1.89±0.16Ma(Ma:百万年前)とされている(岡口・大塚、1980)。

倉沢・高橋(1965)は、口之津層群形成後の火山活動で噴出した玄武岩溶岩・安山岩溶岩を南島原火山岩類と呼んでいる。玄武岩はカンラン石玄武岩で、安山岩は玄武岩と雲仙火山岩類の中間的化学組成を持つ複輝石安山岩である。

一方、大塚(1966)は、口之津層群を覆う角閃石安山岩角礫を含む雲仙火山第T期の噴出物を竜石層と呼んだ。竜石層のフィッション・トラック法による年代は0.29±0.06Maである(岡口・大塚、1980)。後述するように、最近の研究では雲仙火山の活動開始は約50万年前(0.5Ma)とされている。