2−2−4 試料分析

ピストンコアリングによって採取されたコアについて、以下の手順で分析を行った。

(1) 採取コアの半割

 試料の充填されたコアパイプを電動鋸により1m毎に切断し、油圧押し出し器により内部の試料を押し出す。試料はステンレスワイヤーによりさらに縦に二分割し、一方を分析用に使用し、他方はアーカイブ試料として保存した。

(2) 帯磁率測定

 半割したコアは、直ちに帯磁率測定を実施した。測定機器はBartington Instruments社製測定器を使用し、2cm間隔で行った。

(3) 写真撮影および肉眼観察

 半割したコアの切断面を観察し、写真撮影を行った。堆積物中に含まれるウニ・貝化石等は堆積深度を記載して採取し、年代測定用試料とした。

(4) 含水比および粒度組成分析

 コア試料は5cm毎に分割し、分析を行った。まず、試料の湿潤重量測定を行い、乾燥させた後に乾燥重量測定を行って、含水比を求めた。含水比測定ののち、開口径125μm(1/8mm)および63μm(1/16mm)の篩上で水流により洗浄し、篩上に残った試料を乾燥した後、重量測定を行た。125μm以上の粒子については、観察を容易にするため重液分離(塩化亜鉛溶液)により木片等比重の軽いものを除去し、また塩酸処理により貝殻等を除去した。

(5) 実体顕微鏡観察

 実体顕微鏡(観察倍率は40倍)を用いて、粒度組成分析試料の内125μm(1/8mm)以上の粒子の観察を行った。観察においては特に火山灰降灰層準の特定を目的とし、火山ガラスや自形鉱物の含有量に着目した。

(6) 火山灰分析

 実体顕微鏡観察結果から火山灰層と考えられる試料について、火山灰分析を行い、コア間の対比及び広域テフラとの対比を行う。

分析項目としては鉱物組成、重鉱物組成、火山ガラスの形態分類及び火山ガラスの屈折率測定を行う。分析には粒径1/8〜1/16mm粒子を用いた。分析手法は陸域に準じた。

(7)放射性炭素年代測定

 断層の活動時期を特定するため、コアに含まれるウニ殻、貝殻、木片等を用い、加速器質量分析法(AMS法)により、放射性炭素年代測定を実施する。測定結果はδ13Cの値から同位体分別補正を行った後、Intacal98により暦年補正を行った。