(4)雲仙地溝南東部

(1)高岩山断層

高岩山断層リニアメントは、北西−南東走向で古期雲仙前期の溶岩や俵石岩屑なだれ堆積物を北落ちに変位させている。

断層露頭は確認されておらず、山間地で沖積層が分布せず活動性評価の適地がない。

(2)深江断層

深江断層リニアメントは北西−南東の走向で、俵石岩屑なだれ堆積物(60ka)や低位扇状地T’面(70ka)を北落ちに変位させている。

地表踏査の結果、リニアメント位置に断層露頭を確認したが、断層位置に被覆層がなく活動時期は不明である。

リニアメント位置でのトレンチ調査の結果、断層は確認出来なかったが、断層崖を覆う崖錐堆積物中にK−Ah火山灰の混入を確認したことから、完新世に活動した可能性がある。

(3)布津断層

布津断層リニアメントは北西−南東走向で、俵石岩屑なだれ堆積物(60ka)や低位扇状地T面(80ka)を北落ちに変位させている。

地表踏査の結果、リニアメント位置に断層露頭を確認した。断層落ち側の崖錐堆積物中のAT火山灰層(29−26ka)相当層が変形しているのを確認した。

トレンチ調査の結果、K−Ahが混入したローム層が断層で変位しており、さらに540〜310ybp(暦年)を示す表土も変位していることから、歴史時代に活動した可能性がある。

布津断層落ち側でのボーリング調査の結果、縄文海進最盛期直前(7.4ka)当時の汀線が標高−5.26mに沈降していることが確認された。当時の海水準との比較から7.4ka以降の変位量は4〜5mと推定される。

(4)柳原断層

柳原断層リニアメントは低位扇状地T面(80ka)を北落ちに変位させる東西走向のリニアメントである。

地表踏査の結果、2mの露頭欠如を挟んで扇状地構成層の地質構造が変化しているのを確認したが断層露頭は未確認である。リニアメント近傍において、リニアメントに平行な地割れ中の土砂にK−Ahが混入していることが確認され、完新世に活動した可能性がある。