6−1−1 唐比低地西方

唐比低地西方は千々石断層の西方延長部に当たる。地形判読結果では変位地形は認められない。既往文献では当地域の北側の多良岳地域にNW−SE走向で南上がりの逆断層が知られており、雲仙地溝とは異なった応力場にあると推定される。

この地域の地質は、島原半島南部に分布する口之津層群と同時代(1.32〜2.42Ma)の輝石安山岩類(有喜安山岩類)が分布しており、既往地質図によれば、輝石安山岩類の下位の堆積岩類にはNW−SE走向の断層が卓越している。

地表踏査(概査)の結果、千々石断層西方延長位置に断層露頭を確認した。この断層は千々石断層と走向が一致(E−W)するが、活動センスが異なる逆断層で、横ずれ成分を持つ。断層上部に被覆層がなく活動時期不明である。また地理的には延長上にあたるものの、活動センスが異なることから千々石断層との関係も不明である。

有喜の海岸に東西走向の断層露頭を確認した。この断層は南落ちの正断層と推定されるが断層落ち側は海中のため変位量、活動時期は不明である。