橘湾の中央付近では音波散乱層により音波探査記録が不鮮明となる海域の存在が知られているが、今年度の調査でも橘湾西部(茂木沖)の測線127、128において音響散乱層により堆積物の構造が把握できない海域も存在する。
○音波探査記録の解釈
音波探査記録断面では、強い反射面(音響基盤)の上位に、明瞭な成層構造を示す地層が分布しているのが観察される。この凹凸のある強い反射面は最終氷期の海面低下期における地表地形を示すと考えられる。その上位の成層した地層は後氷期における海面上昇に伴う完新世の海成層であると考えられる。この完新統の中部付近に見られるやや強い反射面は、既往の調査結果からK−Ah火山灰の降下層準に対応することが明らかとなっている。
音波探査記録において成層した完新統中の反射面が不連続となっている地点を断層(活断層)と認定した。一部の断層では、断層を挟んで対応する反射面の変位量が下位ほど大きくなっているのが音波探査記録から確認される。これは複数回の断層活動による変位の累積を示すと考えられる。