金浜川中流南岸において、リニアメント位置に断層露頭が確認された(図4−7−4−1、図4−7−4−2)。
この露頭では、厚さ20〜30cmの破砕帯を挟んだN74W、80NとN88E、71Nの2条の断層が認められる。断層の南側は古期雲仙火山の火砕流堆積物が分布し、南側には火砕流堆積物とその上位の固結した土石流堆積物が分布する。断層を挟んだ両側に対比可能な地層がなく、変位量は不明であるが、周辺の地質分布から北側が相対的に落ちた正断層と考えられる。
断層の南側(上がり側)は、下位より軽石を多く含む火砕流堆積物、軽石を少量含む火砕流堆積物、軽石を含まない火砕流堆積物からなる。最下位の含軽石火砕流堆積物中にはN82E、80Nの断層がある。この断層は上位の軽石を少量含む火砕流堆積物中には及んでいない。また最上位の軽石を含まない火砕流堆積物は下位の地層を削り込んで堆積している。
一方、断層の北側(落ち側)には含軽石火砕流堆積物を削り込んで、固結した土石流堆積物が覆っている。この土石流堆積物中にはN45W、40Sの小断層が認められる。
断層露頭の最上部には完新世の未固結土石流堆積物が断層を覆っており、土石流堆積物は断層で変位していない。しかし、土石流堆積物中には年代測定試料となるような木片や炭化物がなく、金浜断層の活動時期に関する情報は得られなかった。