4−5−1 赤松谷断層リニアメント

赤松谷断層は九州の活構造(1989)と新編日本の活断層(1991)では確実度T、中田・今泉(2002)でも確実断層とされており、野岳南の仁田峠付近から妙見岳崩壊壁、岩床山及び牡丹山の北側の赤松谷に沿った直線崖を通り、水無川南岸の扇状地面上の直線的低崖まで連続する北落ちの断層である。図4−5−1に赤松谷断層付近の地形区分図を示す。

赤間谷付近は現在、平成噴火に伴う火砕流や土石流堆積物に埋められており、警戒区域に指定され砂防工事が行われているため調査に制約がある。

水無川南岸の低位扇状地V面上を通る赤松谷断層リニアメント位置の地形地質調査及びトレンチ調査を実施した。

図4−5−2に水無川南岸の赤松谷断層リニアメント付近の平成噴火前の地形図を示す。また、図4−5−2に数字で示した地点の現地写真を図4−5−3−1図4−5−3−2に示す。

赤松谷断層リニアメントは牡丹山の北側の直線崖を通り、低位扇状地V面上の直線的な北落ちの低崖を通る(図4−5−3−2:写真E、F)。

赤松谷リニアメントを横切って計画された砂防堰堤建設に伴う掘削法面では、掘削量が少なく、平成噴火以前の地表に存在したリニアメント沿いの扇状地面上の浅い谷地形が確認されたのみで、扇状地面構成層内の変状等は確認出来なかった(図4−5−3−2:写真G、H)。

また、リニアメントのすぐ北側で実施されている、砂防堰堤計画に伴う緊急遺跡発掘調査地点(図4−5−3−2:写真F)では、扇状地面上に縄文時代の遺物を包含する黒ボク層の分布が確認されるが、断層の活動を示すような地割れや噴砂跡は認められない。