調査地点は国有林であり、想定される断層の確認のため追加トレンチを掘削するためには改めて立木の伐採許可申請が必要である。したがって、断層位置の確認のために、林間で実施可能なハンドオーガーボーリングを実施した。
オーガーボーリング結果を図4−3−10に示す。この図にはトレンチBとボーリングの結果を合わせて示し、調査地点の地質断面を示した。
オーガーボーリングの結果、オーガーNo.1ではトレンチBと同じ層序が確認された。オーガーNo.2ではトレンチで確認された崩壊砂礫の下位に舞岳の火砕岩が分布し、No.3及びNo.5では表土の下に舞岳の火砕岩が確認された。この結果から、林道法面で確認された断層はトレンチBの北側、オーガーNo.1とNo.2の間に存在すると推定される。この断層の走向は林道法面における観察結果と異なり、約N40Wと考えられ、千々石断層南分枝リニアメントと大きく斜交する。この断層の推定位置は、尾根の地表に分布する安山岩溶岩塊の分布境界と一致しており、安山岩塊の分布は断層の推定位置よりも北側に限られる。
想定される断層位置にトレンチを掘削して断層の確認をする必要があるが、国有林の伐採を伴い調査には改めて許可申請が必要なため、本年度調査における掘削は断念した。