唐比低地西部において実施した唐比No.2ボーリング(掘削長46m)のコアについて、14C年代測定や火山灰分析による年代決定、花粉分析による古気候解析、珪藻化石や貝化石による堆積環境の解析等を総合して、唐比低地の古環境を考察した。分析結果を図2−2−3に示す。
コアの分析結果を以下に示す。
・最終間氷期(Stage5e:12〜13万年前)の海進期の堆積物が現在、深度−30m付近に存在していることから、本地域はそれ以降全体として沈降域であった可能性がある。
・縄文海進最盛期の汀線付近の層準が現在、深度−11.60m付近に沈降している。
・縄文海進以降の唐比低地における海水−淡水環境の環境変化は海水準変動のみでは説明が困難で、唐比低地の海側のリッジ状のバリアの形成や、千々石断層の活動と関連している可能性が考えられる。
・唐比低地における千々石断層の正確な位置が不明なため、単独のボーリングデータから本地域の構造運動を論じるとことは出来ない。