小浜〜金浜沖の探査海域では、24本の断層が認められた。いずれも東西に延長する形状を呈しているが、変位の方向は北落ち・南落ちが不規則に分布している。最も延長の長いものでも3km弱で、全般的には1km未満のものが多く認められた。
既往の調査結果で認められていた金浜沖の断層は、本調査でも明瞭に確認された(71〜75測線)。これらの断層は、いずれも延長は1km前後と小規模なものであるが、表層の堆積物に明瞭な累積性をもった変位がみられることから、海底堆積物の分析で活動履歴が明らかに出来る可能性が高いものと判断された。このため、海上試料採取(ピストンコアリング)は、これらの断層(南側よりF−1、F−2、F−3と呼称)を対象として実施することとした。
明瞭な断層構造としては認められなかったが、断層に関連するものである可能性の高い事象として、金浜から菜切にかけての沿岸部の海底にみられる急崖地形がある(71〜73、75測線および79〜80測線の南端)。これは陸上の断層(南側は金浜断層)の延長である可能性もあるが、岸辺寄りであるため探査結果は不明瞭なものが多く、この崖が断層であることを明確に示す構造は確認できなかった。
また、小浜温泉街の沖合の(81)、(82)測線付近の海底には谷状の地形が認められるが、音波探査で谷底から柱状に立ち上る影が捉えられた。これは、海底からの湧水(温泉?)を捉えたものである可能性がある。