高野堤の下流の開析残丘の崖に低位扇状地T面を構成する岩屑なだれ堆積物が露出する(露頭A)。露頭Aの露頭写真と露頭スケッチを図3−3−41−1、図3−3−41−2に示す。
柳原断層のリニアメント位置付近に、不明瞭ながら不連続面(N60W,40N)があるものの、挟在される凝灰岩層に明瞭な変位はみられない。崖の直下が水田のため、露頭の掘削が出来ず詳細は不明であるが、沖積低地をリニアメントが横断する形になっており、詳細調査の候補地として挙げられる。
一方、高野堤の西方の木場堤付近(露頭B)では、低位扇状地T面構成層の岩屑なだれ堆積物中にリニアメントにほぼ平行する割れ目に沿って凝灰質砂が注入している(図3−3−42)。これは、地震によって形成された噴砂の可能性があるが、岩屑なだれ堆積物の上面は畑であり、ローム層等の被覆層は削剥されているため、この構造の形成時期についてのデータは得られていない。
また、扇状地面上から木場堤に降りる切り通し沿いには、リニアメント位置付近で、岩屑なだれ堆積物と土石流堆積物が2mの露頭欠如区間を挟んで分布する(図3−3−43)。両層の構造は互いに斜交しており、露頭欠如区間に断層が存在する可能性が考えられる。予想される断層位置の両側でオーガーボーリングを実施したが、下がり側で60cm(Y1)、上がり側で40cm(Y2)の旧耕作土があるのみで、ローム層は確認できなかった(図3−3−43)。