掘削サイトの見取り図を図3−3−17に、断層露頭写真と断層露頭スケッチを図3−3−18−1に示す。
この断層は火砕流堆積物と崖錐堆積物が接する南落ちの断層である。落ち側に火砕流堆積物が露出していないので落差は不明であるが、露頭の大きさからみて4m以上の変位を有すると推定される。火砕流堆積物と崖錐堆積物の境界は鉛直に近いが不規則で、断層の走向傾斜は不明である。崖錐堆積物の上には乱れた黒ボク土層が堆積している。黒ボク土を分析したところ(試料M1−1)、K−Ah(アカホヤ)火山灰の混入が認められ、放射性炭素年代測定の結果(M1−1)は330±40yBPであった。
この露頭の東方にリニアメント方向の低崖がある。低崖上には黒ボクが堆積しており、火山灰分析(試料M1−4)により、これにK−Ah火山灰が挟在されていることが確認された。したがって、断層露頭の乱れた黒ボク土層は、周辺に堆積した黒ボク土層が、断層活動に関連して、低崖下に定置したものと考えられる。
以上の結果からみて、本断層は、少なくともアカホヤ火山灰降下(cal 7ka)以降に活動したと考えられ、数百年前に活動した可能性も否定できない。