2−1−1 <陸域の活断層>

陸域の活断層は、主に第四紀火山山体の変形から活断層として認定されている。走向は、おおむね東西に近く、一部では西北西ないし東北東に振れている。個々の断層は、あまり長くないが、全体としてみると、陸域だけで島原半島を横断する程度の長さ(約18km)を有している。主な活断層には、次のものがある。

図1

北部の断層は主に南落ち、南部の断層は主に北落ちであり、全体としてグラーベン状の構造を成している。

陸域の活断層では、既往文献に示された変位地形の性状からみると、最新の活動は2万年前以後に生じていると判断される。また、既往地質資料から判断すると、K−Ah火山灰噴出(6,300年前)以後の地溝内の沈降量は10mオーダーに達しているようである(松岡他、1990)。測地学的観測では、現在も年間2mm程度の沈降が継続していると推定されている(多田、1984)。これが全て活断層の起震性の活動によるものではないにしても、このようなデータは、ここ数千年間の間にも陸域の断層の活動があったことを示唆している。ただし、本地域においては露頭観察にもとづく活動履歴の検討は未だなされていないようである。