(1)那留断層の存在

反射面の連続性は明瞭とはいえないものの、ボーリング調査により段丘堆積物の基底深度が確認できており、この位置に不明瞭な反射面が存在する。段丘堆積物は、地形調査により中位段丘面を構成しており中位段丘堆積物と考えられる。

したがって、中位段丘堆積物堆積以降に変位している那留断層は存在しない。

反射法探査の結果では、基盤(中・古生層(美濃帯))の上面と考えられる反射面に、B−1ボーリングの南側で約15mの段差が認められており、この位置に相対的北側隆起の断層が推定される。

これが中位段丘堆積以前に活動していた那留断層である可能性がある。

断層のセンスは、基盤中の反射面の実体が不明なため、推定することはできない。

また、平面的な分布については反射断面からの推定は困難であり、地質概査・精査でも那留断層の断層露頭は確認できていない。したがって、地形調査で得られた低断層崖の可能性のある段丘崖とその南方に連続する鞍部を推定断層として考えることとする。推定断層の方向は、露頭の詳細観察により確認された断層の方向と調和的であり。