地質調査では、活断層研究会(1991)で示されている断層線を横切る約200mわたる道路法面の観察を行った結果、大野断層の存在を示す証拠は確認できなかった。
白鳥町中津屋の北方800mの送電線の下の露頭では、中・古生層の砂岩が大野断層を横切るように、長さ50mにわたり連続的に分布している。砂岩は風化により軟質となっているものの、破砕された様子はなく、断層が示されている位置に断層は認められなかった。したがって、大野断層は存在していないと考えられる。
また、白鳥町(1996):「平成7年度活断層調査委託報告書」では、大野断層の存在を直接観察していないため、大野断層の実在性について検討できないことが判明した。今回の調査に利用可能なデータとしては、
・U測線で物理探査結果の不連続が認められ、ボーリング調査により地質構造の不連続を確認したこと
・T測線・V測線では、見かけ比抵抗の不連続が認められたこと
の2点が、得られているが今回の地形地質調査で作成した地形分類図・地質図によれば、いずれも地形境界・岩相境界にあたり、断層により生じた不連続とは考えられない。
以上の調査結果から、大野断層は存在していないと考えられる。