2−1−3 既存ボーリング資料調査結果

収集したボーリング資料は、調査範囲内の各市町ごとに分類整理し番号を付した。収集したボ−リング本数は193本であり、掘削延長は4537mにおよぶ。各市町ごとの資料数の内訳を表2−1−3−1に示す。ボ−リング地点は、付図−ボ−リング位置図に示した。

表2−1−3−1 各市町管内ごとのボーリング資料数

収集したボーリング資料からは、次のことが整理される。

1)断層の調査を目的として掘削されたボーリング及び地質調査は、

大野断層を対象

資料@白鳥町企画振興課(1996):「活断層調査委託報告書」

八幡断層を対象

資料A建設省中部地方建設局(1991)

  :「平成3年度油坂峠道路地質調査(その1)報告書」

資料B建設省中部地方建設局(1990)

  :「向小駄良インター地質調査作業報告書」

の3資料であった。

これらの内、断層露頭や断層の存在を示唆する露頭が示されているものは資料Aのみであった。資料Aに示されている地質情報は重要露頭と考え、調査に反映させた。

2)ほとんどの資料は、段丘面上において建物・構造物の基礎地盤の調査を目的として実施されたものであり、掘削深度20m〜30m以下と比較的浅いものが多く、地層の記載についても詳しいものが少なかった。

3) 白鳥町では油坂スキー場付近で温泉として掘削された深いボ−リング(掘削深度1645.7m)が1本存在していたが、地質の記載については1500mまでノンコア掘削であるため詳しい記載はない。1500m以深はコアが採取されており、中・古生層での粘土押し出し記載がある。しかし、断層によるものであるのか、または温泉変質によるものなのか、詳しい記載が認められない。このボーリング孔では温度検層や電気検層が行われており、地下温度の変化する点(変曲点)や低比抵抗帯の存在を八幡断層への接近と考えている。しかし、この地域の中・古生層はその成因が海底地すべりやスランプであることから、一概に断層破砕帯と考えることはできない。したがって傍証として扱うこととした。

4)第四紀の地層中には、断層および断層による破砕帯等の記載はみられなかった。