14C年代測定により,礫層1以上の地層は以下の年代範囲内(暦年代補正)に堆積したことが判明している(図5−1−1,図5−1−2)。
礫層1:約12,000〜14,000年前
礫層2:約 5,420〜 9,550年前
腐植質粘土層1:約 6,150〜 7,030年前
腐植質砂層:約 3,700年前
腐植質砂礫層:約 1,860〜 2,650年前
腐植質粘土層2:約 1,570〜 2,650年前
主トレンチ内には,明戸層と礫層1を境する高角西傾斜の逆断層が分布する(図5−1−1,図5−1−2)。同断層はより新期の礫層2に不整合で覆われる。主トレンチおよびボーリングデータからは以下に示す現象から,礫層2堆積以降にも前記の高角断層以外に東側前縁部における断層活動の存在が予想された。
@高角断層の上盤側で,明戸層中に分布する副次的断層のガウジが礫層2中に10p程度突出分布する(図4−1−6,図4−1−9)。
A礫混じり砂層の分布が,高角断層部より東側で傾斜10°程度とやや急になる(図4−1−5,写真4−1−3)。
B礫混じり砂層中に強振現象と判断される地層の擾乱が認められる(図4−1−7)。
Cボーリングとトレンチで確認される礫層2の基底面分布に,西側隆起の撓曲構造および数mのギャップが想定される(図4−1−3,図5−1−2)。
このため主トレンチ埋戻し時に,より東側において増掘りトレンチを実施した。その結果,地表付近で礫層2〜腐植質砂層に影響を与え,腐植質粘土層2に覆われる低角西傾斜の逆断層が確認された。