(2)反射面と反射イベントの特徴

前出の3種類の最終断面図(図4−2−4図4−2−5図4−2−6)では,測線の始点側から終点付近まで,緩い西上がりの層構造を呈するイベントが認定できる。特に明瞭なイベントは,浅部から40ms(+35m),100ms(−25m),250ms(−150m)付近まで見ることが出来る。40ms,250msのイベントは連続的でほぼ水平であるが,100ms付近のイベントは測線中央付近で乱れている。断面の両端で反射イベントが認められなくなるが,これは重合数の低下によるものと推定される。

反射面の形態や分布状況から,反射パターンによる区分を行った。図4−2−7に反射パターン区分図を示す。

反射パターン@は,反射信号が弱いながら連続的に認められ,ごく浅い地表付近に分布する。また,測線の西側と中央〜東側とを比較すると,反射パターンに変化が認められる。

反射パターンAは,比較的明確な反射面が繰り返している領域である。しかし,測線中央部ではやや反射面が乱れており,特に測線西側では反射面が認められない。

反射パターンBは、連続的であり西側に傾斜する傾向がある。

地表地質踏査やボーリング結果から判断すると、得られたイベントは新第三系の円田層に該当する。これらのイベントは同じ円田層内に見られる反射面と考えられるが,パターン区分に見られるように,それぞれ傾向が異なっている。パターンBとAでは,反射面の傾斜方向は類似するものの、測線中央付近に見られるようにパターンAの反射面は乱れている。円田層内ではスランプ構造が発達しており,上記の反射面の乱れはスランプ構造を反映したものと推定される。一方,浅い反射面(パターン@)に注目すると,始点側では東傾斜だった反射面が,測線200m付近より西側では西傾斜に変化している。また,この傾斜の変化に伴い,反射面がやや不明瞭かつ不連続になっている。この反射面の不連続箇所は,測線にほぼ直交する北東−南西のリニアメントとほぼ一致する。したがって,この反射面の乱れは断層活動による構造変化を示している可能性があると判断される。

上記の検討結果を図4−2−8の反射イベントの解釈図にまとめた。図中に示す破線は、反射面が不鮮明ないし不連続になる箇所を示している。なお、各反射面のパターン区分をそれぞれ色分けして示している。

図4−2−7 反射パターンの区分

図4−2−8 反射イベントの解釈断面