観察の結果,白石断層の活動性について,以下の事象を確認した。
・明戸層及び礫層1の高角不整合面(図4−1−9,写真4−1−14−1、写真4−1−14−2)
なお,本不整合面は礫層2に不整合に覆われる。
・明戸層及び礫層2最下部を切る副次断層(図4−1−9,写真4−1−15、写真4−1−16)
トレンチ南面で確認された断層部及び周縁部の地質状況を,以下に記述する。なお,地質構成については前項で記述したとおりである。
@S6付近で確認された高角度不整合
北面では,明戸層と礫層1とは高角度断層により接し,断層面には粘土が挟在している。しかし,南面では,礫層1と新鮮堅硬な明戸層とが接しており,断層粘土は分布しない。但し,境界面付近の礫層1中では,礫の長軸が直立しているものが多く,礫層1が断層運動に伴う変形を被っていると判断される(写真4−1−4、写真4−1−5、写真4−1−6、写真4−1−7、写真4−1−8)。すなわち,南面においても明戸層と礫層1は断層関係で接している。
AS5付近で確認された高角度断層(副次断層)
本断層を境として,明戸層泥岩及び明戸層砂岩が接する。断層の走向傾斜はN20゚E, 50゚Wを示し,幅3〜10cmの細片混じり粘土状部を伴う。基盤上限面では,軟質な断層破砕部が礫層2中に約2cm程度突出している状況が確認された。断層による変位の向き及び変位量は不明である。北面の標尺N5付近で確認された高角度断層に連続するものと判断され,北面の標尺N6付近で確認された断層の副次断層であると判断される(写真4−1−9、写真4−1−10)。
図4−1−9 白石断層 菅生田地区トレンチ南面