(3)菅生田トレンチ南法面状況

菅生田トレンチの南面について縮尺1/50でスケッチを行った(図4−1−8写真4−1−13)。また,断層部周辺を詳細に観察した結果を,縮尺1/10スケッチにとりまとめ(図4−1−9),細部の写真は写真4−1−15写真4−1−16に示した。

観察の結果,白石断層の活動性について,以下の事象を確認した。

・明戸層及び礫層1の高角不整合面(図4−1−9写真4−1−14−1写真4−1−14−2

なお,本不整合面は礫層2に不整合に覆われる。

・明戸層及び礫層2最下部を切る副次断層(図4−1−9写真4−1−15写真4−1−16

トレンチ南面で確認された断層部及び周縁部の地質状況を,以下に記述する。なお,地質構成については前項で記述したとおりである。

@S6付近で確認された高角度不整合

北面では,明戸層と礫層1とは高角度断層により接し,断層面には粘土が挟在している。しかし,南面では,礫層1と新鮮堅硬な明戸層とが接しており,断層粘土は分布しない。但し,境界面付近の礫層1中では,礫の長軸が直立しているものが多く,礫層1が断層運動に伴う変形を被っていると判断される(写真4−1−4写真4−1−5写真4−1−6写真4−1−7写真4−1−8)。すなわち,南面においても明戸層と礫層1は断層関係で接している。

AS5付近で確認された高角度断層(副次断層)

本断層を境として,明戸層泥岩及び明戸層砂岩が接する。断層の走向傾斜はN20゚E, 50゚Wを示し,幅3〜10cmの細片混じり粘土状部を伴う。基盤上限面では,軟質な断層破砕部が礫層2中に約2cm程度突出している状況が確認された。断層による変位の向き及び変位量は不明である。北面の標尺N5付近で確認された高角度断層に連続するものと判断され,北面の標尺N6付近で確認された断層の副次断層であると判断される(写真4−1−9写真4−1−10)。

写真4−1−13

図4−1−8

図4−1−9 白石断層 菅生田地区トレンチ南面

写真4−1−14−1

写真4−1−14−2

写真4−1−15

写真4−1−16