5−2 白石断層・越河断層と円田断層との関連について

本調査では,白石断層北方地域におけるリニアメント周辺の地形・地質状況を把握した。調査結果を基に白石断層・越河断層と円田断層との関連を検討した結果は,以下のとおりである。

・既往調査及び既往文献では,白石断層の北端は児捨川以南の地域であるとされたが,本調査では児捨川以北の福岡深谷まで断層の存在を示唆する事象が確認された。

・福岡深谷以北〜松川以南地域では,リニアメントが山地内及び山地・丘陵前縁に判読されるが,いずれの地域でも断層の存在を示唆する事象が得られなかった。

・松川以北の地域では,丘陵及び段丘面の前縁にリニアメントが判読され,北部の小村崎地区ではリニアメント近傍で沖積段丘堆積物(L3)中の火山灰層が撓み下がる事象が確認され,断層の存在が示唆された。

・松川左岸の矢附付近では中新統の構造がリニアメントに近づくほど傾斜が急になる傾向があり,基盤中の断層の存在が示唆された。

以上の結果から,白石断層の北方延長は少なくとも児捨川以北の福岡深谷まで連続し,松川以北でも南北〜北北東−南南西方向の活断層が分布する可能性があると判断される。