(6)調査地北部:矢附〜北境地域

リニアメントは,沖積低地と低位段丘面(L1)との境界,及び中位段丘面(M2)と丘陵との境界でやや不鮮明な低崖の連続として判読され,確実度Uに区分される。

本地域の丘陵部には,新第三紀更新世の円田層が広く分布し,南部の矢附付近では新第三紀中新世の橋本砂岩が小分布する。また,丘陵前縁には低位段丘堆積物層(L1)し,松川左岸には中位段丘堆積物層が広く分布する。

リニアメントは丘陵前縁の遷緩線,及び低位段丘面前縁の比高10m弱の低崖であることを現地で確認した。しかし,段丘面上の段差地形や段丘面の撓みなど,断層運動に伴うと推定される地形は確認されなかった。但し,塩沢〜矢附間では段丘面前縁で堆積物中のシルト層が東に12°傾斜する状況を確認しており,堆積物がわずかに撓んでいるとすることも可能である。

丘陵部では,円田層が乱堆積構造を示すため,同層中に断層運動による変形があるか否かは判断できない状況にある(写真4−2−14)。しかし,矢附付近ではリニアメントの西側に分布する橋本砂岩の構造が,リニアメントに近づくほどやや傾斜が急になり,最大18゚で東に傾斜している。この構造は想定される断層運動による地層の変形と調和しており,断層が存在する可能性が残る。