4−2−1 調査地域の地質・地質構造

本調査地域の地質層序表を表4−2−1に示す。本調査では,原則として地層名を平成10年度調査結果及び北村(1986)★5に従ったが,青麻火山噴出物については層相及び分布状況を基に3層に区分した。

★5北村 信 編 (1986):新生代東北本州弧地質資料集.全3巻,宝文堂

調査地では,中央部の青麻山東斜面に新第三紀鮮新世〜第四紀更新世の青麻火山噴出物(泥流堆積物を含む)が広く分布し,その北方と南方で地質構成が異なる。

青麻山より南方では,最下位に先新第三系の花崗閃緑岩類が分布し,この上位に新第三紀中新世の鉢森山安山岩類,赤井畑層,明戸層及び蔵本層,鮮新世前期の大綱層が分布する。また,第四系は更新世の古期青麻山火山噴出物層,高位段丘堆積物層,弥次郎火山泥流堆積物層(中位段丘面を構成),低位段丘堆積物層,完新世の沖積段丘堆積物層T〜U,小扇状地堆積物層T,V,崖錐堆積物層,沖積低地堆積物層からなる。

青麻山より北方地域では,西部の低山地地域に新第三紀中新世の猿鼻層,滑沢層及び桜内層が分布し,丘陵前縁部では猿鼻層に対比される橋本砂岩が小分布する。鮮新統は下位より沼田凝灰岩,薄木層及び円田層が分布し,中新統を傾斜不整合で覆う。第四系は更新世の中位段丘堆積物層及び低位段丘堆積物層,完新世の崖錐堆積物層,沖積低地堆積物層からなり,高位段丘堆積物層は分布しない。

調査地の地質構造は,新第三紀の中新統が概ね東に傾斜する同斜構造をなす。新第三紀の鮮新統は,調査地南部では中新統とほぼ調和して東に緩く傾斜し,調査地の北部では中新統を傾斜不整合で覆う。なお,調査地中央部の青麻山周辺,松川右岸地域では先青麻火山湖成堆積物が西に20〜40゚で傾斜し,古期青麻火山噴出物に不整合で覆われる。

以下,各層の岩相,分布の特徴を整理して述べる。